NPO/市民活動団体(非営利組織)の活動資金についての解説

NPO法人、市民活動団体の活動を支える活動資金の調達手段は、7種類あると言われています。それぞれの資金の特徴を理解し、活動の基盤を安定させることを目指しましょう。

1. 会費(入会金・年会費)

団体の理念に賛同し、活動を支える「会員」から集める資金です。

  • 詳細: 正会員(議決権あり)や賛助会員(支援のみ)など、複数の種別を設けるのが一般的です。
  • 特徴: 継続的な収入になりやすく、非課税であり、使途の制約がないため、団体の運営費(人件費や家賃)や事業費など自由に使える貴重な財源です。

まずは、NPO法人の理念である市民の参加と協力を増やす=会費を増やす を目指します。会費は、寄附金(指定寄附も可能)と同様に非営利組織において、非課税で使途が自由であり、持続可能な活動・運営を目指す上で一番大切な活動資金です。

昭和の時代から、ボランティア組織は「持続的な運営が難しい」という共通の課題がありました。この壁を乗り越えるため、志ある多くの市民よって、1998年に日本初の議員立法により誕生したのが「NPO法」です。 この法律は、市民の社会貢献活動を持続させ、発展させていくための基本モデルとなっています。運営の第一歩は、多様なスキルや経歴を持つ仲間(正会員)を増やすことです。そうした多様な人々が集うことこそが、NPO/市民活動の基盤となります。

市民の参加を促すには、多様な活動プログラムを用意することが重要です。学校の部活動のように、市民が「自分に合った活動」を自ら選んで参加できるようなマネジメントこそが、NPO/市民活動の根幹といえます。 社会課題の解決は、団体が単独で行うものではありません。目的の達成に向けた様々な活動プログラムを通じて市民の参加を広げ、会計情報を透明化し、地域企業や個人会員などの「応援団」を増やしていく。こうしたプロセスを経て、団体の社会的な信頼(関係資本)が蓄積され、さらなる認知と信用につながる好循環が生まれます。

2. 寄付金

寄附は、地域に向けて協力を募り、現在の社会ニーズに添ったプログラムを増やし、様々な主体との連携や協力関係を構築しながら寄付を募る活動に取り組みます。

寄付は、個人や企業から無償で提供される資金です。

  • 詳細: 都度寄付、毎月定額のマンスリー寄付、遺贈寄付などがあります。「認定NPO法人」の格付けを取得すると、寄付者が税制優遇を受けられるため、集金力が格段に上がります。
  • 特徴: 寄付を募る=お金の流れについての透明性の高い情報公開と不正の生まれないガバナンスの効いた組織運営が求められます。

3. 助成金・補助金

民間財団や行政から、特定の事業に対して交付される資金が助成金です。また、行政が一定のルールのもと配分される補助金は、継続性が低く(1年から多くて3年)、事業にのみ使途が限定される特徴があります。助成財団などでは、なるべく多くの団体に配分する目的があり、同じ団体の2度目の採択は難しいなどの特徴があります。

助成金に採択されたら、仲間と一緒に採択された助成事業を行うとともに、1番目の活動資金を増やすために「活動メンバーやサポート会員・企業」を増やすことを目指し、並行して地域社会に参加と協力をアピールしながら会員・寄附を増やすことが大切です。

助成金の事業だけに専念することは、自ら団体の持続性を手放していくことになり、助成団体の願う「採択団体の発展」の機会とすることができず、助成の目的を損なうことになります。次の年の活動資金も別の助成金に応募するという悪循環に陥らないように注意が必要です♪上手に助成金を活用しましょう。

4. 受託事業

行政や企業から、特定の業務を請け負って行う事業です。

  • 詳細: 自治体の相談窓口の運営や、公園の管理、調査研究など、団体の専門性を活かして業務を遂行し、その対価として委託料を受け取ります。
  • 特徴: 安定した収入になりますが、行政の予算次第で次年度に打ち切られるリスクもあります。

5. 自主事業収益(受益者負担)

サービスや商品の対価として、利用者から直接得る資金です。この事業で得られる収益を年々増やしてゆくこと、この事業が収益事業として法人税法上の34業種に該当する場合には、課税されますがそれでも収益を増やしてゆくことを目指すことです。

  • 詳細: セミナーの参加費、オリジナルグッズの販売、バザーの売上、専門知識を活かしたコンサルティング料、収穫した野菜の販売、他
  • 特徴: 自由度が高く、活動を広げながら資金を得られますが、収益性を追求しすぎると「市民活動」としての本来の目的を見失うリスクに注意が必要です。

6. クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネットを通じて、不特定多数の人から特定のプロジェクトに対して資金を募る手法です。

(以下CF)CFには、寄附型(非課税)、購入型(課税)、投資型の3種類があります。社会貢献や課題解決を担うNPO法人や市民活動団体の場合は、寄附型の利用が非常に増えて来ており、その専門サービスも複数のプラットフォームが立ち上がっています。

CFのもう一つの利点は、お金と一緒に人を集められることです。申込みメニューで活動に参加するプログラムを作ったり、お礼の手紙に入会案内やボランティア、プロボノのパンフレットを同封してコミュティへの参加を呼びかけましょう。

7. 融資

銀行や日本政策金融公庫などから、お金を借りる手法です。

  • 詳細: 認定NPO法人などを対象とした低利融資制度や、市民バンク等からの借り入れがあります。
  • 特徴: 寄付や助成金と異なり「返済義務」があるため、事業収益で返済できる見込みがある場合に活用します。

資金調達のポートフォリオ(構成比)

一つの手段に依存しすぎると(例:助成金100%)、その公募が終わった瞬間に団体が存続できなくなります。目指すは、「自前で稼ぐ力(自主事業・会費・寄附)」と「新規事業の準備等(寄付・助成金)」をバランスよく組み合わせることです。

まずは、自分たちの現在の活動内容に照らして、どの手段が一番相性が良さそうか深掘りしてみませんか?例えば、「特定のプロジェクトのために一時的な資金が欲しい」のか「毎月の固定費を安定させたい」のかによって、最適な優先順位が変わります。