NPO法人猪苗代研究所(通称:いなラボ)


紙面には書ききれなかった、持続可能な運営のヒントを含めた様々なお話を掲載しました。
青年3団体で協働し組織をつくる意義とは?
協働でNPO法人を設立
2015年から開催されることになった音楽イベント「オハラ☆ブレイク」で、青年3団体がそれぞれ、はじめて顔を合わせることになりました。
イベントを機に「街を良くしたいという思いは、みんな一緒、アプローチの仕方が違うだけ」それぞれの団体の人数も減ってきている現状もあり、それぞれやってるよりも「みんなで一緒にやった方ができることが増えるよね」という共通認識が生まれ、西村 和貴さん(猪苗代町商工会青年部部長)、楠 恭信さん(一般社団法人猪苗代青年会議所理事長)、土屋 信彦さん(JA会津よつば農業協同組合青年連盟猪苗代支部《農青連》)の3名を中心に、「連絡協議会」の設立が決定されました。毎月1回代表者が集まって会議を重ねました。
私たちの住むまちの課題に向き合うために「それぞれのメンバーの頭の中に何か出来そうだ」というイメージが膨らみました。法人化にあたり、町役場の職員をされている方より、資金調達方法が多様なNPO法人が良いとアドバイスがあり、2016年にNPO法人を設立しました。
設立当初、3団体から5名づつが出ることにして合計15名の正会員で構成され活動を始めましたが、「NPO法人は、活動に参加したい入会希望者を拒むことが出来ないことになっており、多様な人たちが活動に参加できる仕組みになっています」、2025年現在は、27名の活動メンバーとなっています。
メンバー構成は、多様な人材が集まっています。設立当初15名程度だった会員は、現在名簿上は27名に増え(実質活動者は25名)、地域おこし協力隊のメンバーも加わり、農家、料理人、大工、美術館関係者、神社の宮司、お寺の僧侶など、様々な分野のプロフェッショナルが在籍しており、それぞれの得意なことを持ち寄り取り組んでいます。
取組みについて
中ノ沢こけしのブランディング
「中野沢こけし祭り」の企画・運営
中ノ沢こけしの歴史が100周年を迎えるも衰退の危機にありました。「地域の宝としてちゃんとブランディングしたい」という思いから、地域おこし協力隊や中ノ沢温泉の人々とも連携し、中野沢こけし祭りを企画・開催しています。これまで販売されていなかったこけしの販売促進にも貢献しています。また、中ノ沢こけしのブランディングとして、日本でただ一つの「こけしの自動販売機」を導入し温泉街に設置しています♪

2021年から福島県地域創生総合支援事業(サポート事業)を活用し、中ノ沢こけしのブランディングに取り組み、大きな成果をあげました。

中ノ沢こけし祭りをはじめ、様々な仕掛けにより、嘗てない程の集客(全国からの来客)に結び付き、現在も継続して取り組んでいます。

取材撮影:左から 副理事長 小林 竜也さん、初代理事長現理事 西村 和貴さん、理事長 渡部 一登さん、相談役 楠 恭信さん(日本で唯一の「こけしの自動販売機」がある中ノ沢温泉 小西食堂前にて撮影)

その他に例えば、YouTube動画の制作では、物書きが得意な人、写真撮影が得意な人、デザイナーなどが協力し、外部委託費を抑えながら質の高いコンテンツを制作している。デザイン企画立案やデザイン、ウェブ制作などの知識を持つメンバーも在籍。この多様なメンバー構成が、いなラボの活動基盤となりノウハウが蓄積されてきています。


研究所の意味するところ
移住促進と地域交流
移住促進のプロジェクトも展開していて、地域おこし協力隊と地域住民との間の「ギャップ」を埋める「プラットフォーム」となっています。また、地域課題に対して、中間支援的な役割で多様な団体や人たちの調整をしながら、必要な品質の事業を組み立てていけますのでこの2本の軸を上手に調整ながら今後の活動に活かして参ります。
今後も「次の世代の人たちが、いなラボに参加すれば、考えていることを「叶えられる」というように思ってもらえるようなそんな団体になることを目指してまいります。
最後に
いなラボの活動を通して感じるのは、「仕事だけしていた時と違って、人の輪がつながっていくんですね。本当に以前とは、生きていく上での幅や深みが広がっていく面白さ」を感じています。困ったときは「誰かに聞けばなんか解決する」という豊富なつながりの厚みさえも感じられています。