新春SDGs座談会

2030年までの世界共通の目標であるSDGs活動に取り組む市民活動団体の方々に、活動を進める中での課題や現状についてお話しをいただき、SDGsの活用の輪を広げるために座談会を開催しました。本記事は、広報誌「あしすとぱぁく」第61号「新春SDGs座談会」掲載記事の拡大版です。

座談会出席者紹介

のんびりキッチン 

代表 木村潤子さん

2019年の台風19号の阿武隈川の氾濫被害が発生した際に、全国から、中古の家具類、衣料品などを集めて、地域の方々へ無償提供を行うことから市民活動をスタート。

鏡石町で町内初めてとなるこども食堂の立ち上げを行った。現在は、子ども達だけでなく、高齢者の孤立・孤食を防ぐ形で、地域食堂として開催している。

地域コミュニティの再生のための居場所づくり活動に取り組み、誰ひとり取り残さない地域とすることを目指し、企業経営の視点から、ビジネスの手法と社会課題の解決を組み合わせたソーシャルビジネスのアプローチで解決を目指す。

Facebookページ のんびりキッチン

一般社団法人ふくしま多言語フォーラム

理事 佐藤 美華さん

2018年、福島県内の多文化共生社会の実現を目指し、日本語教育の提供、日本語教育者の人材育成、日本語教育の推進を目的に設立。

主な取り組みとして、企業様に向けて、外国人実習生への日本語教育プログラムの提供、日本語教育の専門家の人材育成のためのサテライト講座の運営、多文化共生社会実現のためのアドボカシー活動や先駆的な事業を実施しています。

Webページ https://fmf81.org/

NPO法人うつくしまNPOネットワーク

理事長 樋口 葉子

福島県のうつくしま未来博成果継承基金を財源とした、日本で初めてとなる公益信託(うつくしま基金)の創設、運営サポート組織として平成15年3月14日NPO法人として設立。

福島県内で活動するNPO活動団体(ボランティア団体、市民活動団体、NPO法人など)の活動を促進する中間支援(インターミディアリー)組織として、支援活動などを行い、市民自らが考え行動してゆく活力ある社会づくりを目指し活動しています。

Webページ http://www.utsukushima-npo.jp/

NPO法人サーチドッグふくしま

理事長 西坂 直樹さん

1993年より、日本で初めてとなる災害救助犬活動の創設メンバーとして活動開始。以後、28年間に渡り、全国での災害救助犬活動(遭難・災害時の犬の派遣、防災訓練、教育機関と連携した教室の開催)に携わり、全国組織で活動するNPO法人の理事として活動に従事。


地域の特性に合った活動を提供できるよう、福島県内のメンバー26名と福島県拠点のNPO法人を2020年11月20日に設立。

Webページ 現在作成中 https://k9-fukushima.com

樋口葉子

本日は、お忙しい中、広報誌「あしすとぱぁく」第61号新春SDGs座談会にご出席いただきましてありがとうございます。本日、司会をつとめさせていただきますNPO法人うつくしまNPOネットワーク理事長をしております樋口葉子と申します。よろしくお願いします。

樋口葉子

本日の座談会は、2015年に国連で採択されましたSDGsについての取り組みをお話しいただき、こおりやま広域圏で市民活動団体の取り組む住みやすいまちをつくる活動の輪がさらに広がることを目的として開催するものです。この座談会は、SDGsの達成に向け、どんな取り組みが行われているのか、活動の概要や課題などを話し合い、SDGs活動の輪を広げていくことを目的に開催します。

それでは、本日の座談会にご出席いただきましたメンバー3名の方にそれぞれに自己紹介をお願いします。

西坂直樹さん

こんにちは、団体名がNPO法人サーチドッグふくしまといいまして、先月11月20日に登記が完了した、出来立てのほやほやのNPO法人で理事長をつとめます西坂直樹と言います。

私達の活動は、サーチドッグということで災害救助犬活動を行っています。

実は、私どものメンバーは、28年前、阪神淡路大震災の2年前から活動を始めまして、数々の震災であったり、災害などで犬を派遣し、私達も帯同し、災害時の行方不明者の捜索の活動をして続けて参りました。その間に全国版のNPO法人を3つ立ち上げまして、その理事をつとめさせていただきました。

それらの法人は、それぞれに機能しているのですが、今年、新型コロナウィルスの感染拡大ということもあり、県を跨いだ活動が出来ないなどの問題が生じたことと内閣府では、NPO法人の支部を作る際に、従たる事務所をどんどん作るより、支部組織はそれぞれ地域で独立することを推奨するという方針を鑑みて、今回、全国で災害救助犬の活動している福島県のメンバーで、福島の地形や風土にあった活動を取り入れ、NPO法人を立ち上げようじゃないかということで法人設立を進めて参りました。

その間に、いつ出動があるかわからないので、地域の企業2社にお願いして、建築物の解体現場で、瓦礫だらけの状態で、救助犬のトレーニング及びドローンを取り入れた多面的な捜索訓練度を行っておりました。

他に取り組むのは、災害救助犬というのはどこでもそうなのですが、任意団体による認定によって、「災害救助犬」というように認めています。つまり、私の犬は、救助犬ですよとなのれば救助犬という状況です。それでは、様々な危険や事故を招く可能性がありますので、私達の活動の中で、NPOが災害救助犬を認定する仕組みを作り、確かなものとなるように積み上げてきたノウハウを福島版として更に改良し、地域の皆さんにご案内してゆきたいと考えています。

今年は、10月に郡山市の山中と南相馬市のロボットフィールドでも瓦礫の中で試験を実施し、9頭の災害救助犬が誕生しております。

SDGsに関してですが、自身の仕事の中では、関係する仕事もたくさんしていたのですが、NPOと絡めて考えたことが無く、今回の座談会参加によって、皆さんにお配りした会社案内の一番後ろに掲載しましたが、正しいかどうかも含めて皆さんのご意見をいただければと思い本日参加しました。よろしくお願いします。

樋口葉子

司会 続きまして、木村さんお願いします。

木村潤子さん

こんにちは、鏡石町で町内初めてとなる子ども食堂の立ち上げを行いました。

経緯としましては、昨年、2019年の台風19号の阿武隈川の氾濫被害がありまして、その時から、私の本業が、リサイクル・古物商を営んでいたことから、中古の家具類、衣料品などを全国から集めて、地域の方に無償で提供する活動から開始しました。

子ども食堂プラスアルファとして、地域食堂という形で高齢者の孤立・孤食を防ぐ形で地域コミュニティの再生に向けた活動をしてゆきたいと考えています。

よろしくお願いします。

樋口葉子

司会 それでは、佐藤さんお願いします。

佐藤美華さん

私ども一般社団法人ふくしま多言語フォーラムは、2018年に、福島大学の准教授である中川祐二先生を代表理事に迎え、地域の日本語教育の向上に役立てるように設立いたしました。

主な活動としては3つとなります。

一つ目は、外国人就労者への日本語指導です。今まで福島県内では、日本語教育がボランティアベースで活発に行われてきましたが、技能実習生が増える社会状況から、企業さんのニーズに応える教育を確立して行きたいという思いです。企業さんへの信頼を高めるためもあり、中川先生にお願いして、法人設立という形をとりました。

私たちの指導は、教室を開くというより、企業まで出向いて行う出張日本語レッスンが主な形です。最近は、実習生だけでなく、直接、外国人の方を雇用する企業さんも増えて参りまして、そうした外国人従業員の方へ指導の他に、企業の従業員さんに向けて、最初の受け入れ態勢の構築もお手伝いしています。

2つ目は、日本語教育に携わる人材育成を行っています。東京にありますインターカルト日本語学校と連携し、福島で初めてサテライト校として福島市の事務所でオープンしました。外国人が福島県の中で、増える中で日本語教育の専門家の数と質を同時にあげてゆくことが急務だと考えております。

3つ目は、日本語教育の所轄は、文化庁になりますが、小学校の児童への教育は文部科学省になっています。また、外国人の日本語教育は大人から子供まで総括して行います、昨年度、日本語教育推進法が成立し、国や自治体でも日本語教育を整えてゆく方針が出来て、各地域で日本語教育を担える機関の設置・推進が始まったところです。

その中で、今年は、東京のインターカルト日本語学校と連携し、全国の日本語教育の推進のための事業に取り組んでいます。本日、皆さんにお配りした資料の一番上にあるのですが、12月13日福島市で開催されるフォーラムの資料にもSDGsの掲載していますが、SDgsの4つの目標を掲げ取り組みにを進めてゆきましょうということで、今回の事業の中で多文化共生をテーマに進めております。

以上の3つが私たちの活動になります。本日はよろしくお願いいたします。

樋口葉子

司会 「誰一人取り残さない世界」をつくるための、人類共通の目標であるSDGsについて、いつ頃、お知りになったのかということと最初に、SDGsを知った時、どのように感じましたか?

西坂直樹さん

先ほどもお話しさせていただきましたように、NPO法人としては出来たばっかりですのでこれからということなのですが、全国組織の中では、災害救助犬活動を通して、全国各地での防災訓練や学校などで犬との接し方の教室などを行ってきました。

他の団体の方からSDGsのことは伺ったりはしてきたのですが、自分の活動がまさか、SDGsにリンクするとは考えてもいませんでした。

また、自分の本業で企業さんのSDGsに関する案件を何度も携わっていたのですが、今回の座談会のお話をいただき、よく考えてみたらそういうことだなぁ、と思いまして会のメンバーに話してみたら、私達の取り組みより、美しすぎるのではないかなどと照れくさい感じもありますが、あらためて文章や資料を拝見して、考え方を取り入れて見直して行ける機会となりました。

樋口葉子

司会 ありがとうございました。それでは、木村さんお願いします。

木村潤子さん

私は、3年ほど前に以前の会社を退職し、新たに起こす会社の理念をどうしようかというときに、「誰も取り残さない」という概念と、17項目の中にもありますが、経済発展という内容があったものですから、これはいいということで、名刺にも入れさせていただきましたようにSDGsの推進企業ということで始めました。

3年前に知ってから、今回この機会をいただけなければ、より掘り下げて17項目を考える機会が無かったので大変感謝しています。

樋口葉子

司会 佐藤さんお願いします。

佐藤美華さん

私は、SDGsの具体的な取り組みを知ったのは、昨年くらいです。法人の活動につきましてもお二人がお話しいただいたように、外国人の方々が身近にいながらも、世界の大きなテーマと自分たちの身近な活動と関連付けて考えたことがなかったのですが、あらためて考えさせていただいて、すごく勉強になった部分がありました。

現在、私は小学生の娘がいるのですが、学校ですでにSDGsについて学んでいるということで、いろいろ教わってきました

(一同:笑)

子供たちの方が、身近なテーマとして捉えていて、ゴミ問題や環境保護の視点でゴミの分別や困っている人を助けるというような自分たちの身近で出来る近いところから取り組み最終的に世界の問題解決につながっていくのだと感じました。

樋口葉子

司会 ご参加の皆さんは、いろいろな活動を実施しておりますが、SDGsの17あるゴールのどれに一番関係がありそうですか?

木村さんからお願いします。

木村潤子さん

はい、私達の活動は、こどもの貧困問題や地域コミュニティの再生というテーマで活動する中で、SDG1番「貧困をなくそう」とSDG11番「住み続けられるまちづくりを」で設立し、将来的には、SDG4番「質の高い教育をすべての人に」SDG8番「働きがいも経済成長も」を考えています。

やはり、ボランティアというと経済成長とかけ離れていくような印象を持ってしまいますが、私はそれでは続かないと思っていますので、社会の課題をなくしていくことと経済成長へとつなげることを一緒に考えてゆかねばなりませんし、すべてがつながっていかないとならないと感じています。

樋口葉子

司会 佐藤さんお願いします。

佐藤美華さん

先ほどお配りしましたチラシの中に4つ入れています。SDG1番「貧困をなくそう」、SDG4番「質の高い教育をみんなに」、SDG8番「働きがいも経済成長も」、SDG10番「人や国の不平等をなくそう」です。

1番と4番の取り組みを説明しますと、日本語教育というのは、共生社会を目指すにも大切なのですが、人権保障や命を守る視点でも非常に大切だと私たちは考えています。

すべての人に平等に教育を提供することが、最終的にSDG8番「働きがいも経済成長も」に繋がってゆくと思います。

私達と一緒に働き、ともに経済成長へ綱げていける一員として、メンバーとして一緒に取り組んで行きましょうということだと思います。そのためにSDG10番「人や国の不平等をなくそう」差別や偏見をなくし、みんな同じように共生していけたらいうことでこの4つを目標にしました。

樋口葉子

司会 西坂さんお願いします。

西坂直樹さん

これはまだ、組織全体で決めたことではなく、こんなものだろうということでの参考としてお話しさせていただくのですが、SDG11番「住み続けられるまちづくり」をベースに災害に負けないまちづくりへの協力ができるのではないかと思います。

それとSDG13番「気候変動に具体的な対策を」という部分なのですが、変なお話になるのですが、使えないときはカットしてください。災害時にお亡くなりになった方と生き残った方との違いは、人間力の違いのような気がします。例えば日常の暮らし中で、気温が下がった時にちょっと服を着ようとかいうような本当に簡単なことを日常的に出来る感覚を持たれている方は、とっさの時にやばいぞと非難が出来る、割とのほほんという方は、あの方亡くなってしまったねとうようなことが、聞き込みなどで現場で良く聞かれることです。だから人間力を増すということは、気候変動でもそうですし、災害に強い人になりますし、欠局、人間の五感以上のセンサーを常にはりめぐらせていう方は、ナチュラルな生活を意識することで、ゴミを減らしたり、無駄な電気を使わないであるとか地球環境に良いという意識がSDGsの目標に達っすることができるのかなあというような印象を持ちました。今回考えさせてもらいました、的外れだったらごめんなさい。

それとSDG17番です。私たちは、いつも災害現場に行くと消防・警察・自衛隊、地域の行政関係者の皆さん、被災者の方と常にコミュニケーションを取りながら災害救助活動を行います。その中で割と大事だと思うのが、町内会ですとか、ミニマムなコミュニケーションを細かくとることが災害の被害を少なく出来るという印象があります。隣の人のコミュニケーションがとれていることが、最終的には、すべてにつながる減災の基本かなと思います。最終的には、私達が言うことはおこがましいので、犬がいることで、子ども達に教えたり、地域のイベントなどで社会に向けて発信することは出来るのかなと感じています。

樋口葉子

いま教えていただきました、それぞれのSDGsのゴールに向け、具体的にどのような活動/事業をしておりますか?木村さんからお願いします。

木村潤子さん

私どもは、シンプルに子ども食堂という形で活動をさせていただいております。

今の西坂さんのお話にもありましたがやはり大切なのは、地域コミュニティ力だと思います。食事を提供するだけでなく、将来を見据え、地域で自立し、社会でどのようにして生きてゆくかが重要となると思います。ですので食事を提供するだけでなく、寺子屋(学習支援)を併設し、そこに関わる学生のボランティアを育成するため岩瀬農業高等学校とのタイアップし高校生が小学生の面倒を見ることで自尊心を育むこと念頭に活動しています。

また、社会における高齢者の方々との関りが希薄となっていて、私自身の子ども頃の生活であったような玄関の鍵を掛けないで、近所の人が気軽に出入りするようなことが無くなり、私の両親が共働きであったのでよその家にご飯までごちそうになるといったあたりまえの環境が無くなっています。

そのことが、子どもの虐待・ネグレクト・精神疾患を含めた様々な子どもを取り巻く社会課題が認識されるようになりました。活動の中で居場所づくりを併設し、高齢者も含めた気軽に集えることを目的に、他ボランティ団体さんと連携して、工作教室のプログラムを取り入れ、高齢者が子ども達と触れ合える居場所としての機能もミックスしたこども食堂・地域食堂という活動を展開しています。

佐藤美華さん

今回、12月13日に開催させていただきます、セミナーなどは、共生社会をつくるという意味で具体的な事業かなと思っております。生活者として外国人との共生社会の実現がテーマとなっており、外国人といっても、見た目や文化や食べるものなどが違うだけで、中身は何も変わらないということを共に日本で暮らす生活者としての感覚を伝えてゆきたいなと思っています。

コンビニのレジや生活のいたるところで共生は避けて通ることのできない部分で、共に暮らす社会になってきつつある中で、私達と何も変わらないで生活する権利があり、様々な組織やコミュニティに於いて、受け入れ側の意識が変わるだけで共生はうまくいくのではないかと私たちは捉えています。セミナーの開催で皆様へのそうした共生を啓発してゆけると思います。

樋口葉子

司会 西坂さんの方で何かお話ていただけることがありましたらお願いします。

西坂直樹さん

そうですね、団体としては設立したばかりですので取り組んでいますということは言えないのですが、先ほどお話した学校への訪問活動での防災教室のようなことは、、福島県で進めてゆきたと考えています。

樋口葉子

最近になりSDGsという言葉やマーク、バッチを見かけるようになりましたが、まだまだ、広くは知られていません。そんな中での皆さんの活動ですから、ご苦労も多いと思います。課題(ご苦労)などを教えてください。佐藤さんからお願いします。

佐藤美華さん

私たちの活動の対象が外国人ということもありまして、世界規模の取り組みという観点では、比較的に身近なのかもしれません。しかし、遠いところの課題かけうというより、まずは身近なところで考えてゆくと、外国人就労者の方々なのですが、彼らが日本語教育を必要としている中で、賛同いただけた企業さんからご依頼をいただき、実習生の皆さんに向けて実施していますので意識が高くやりやすい環境をいただけています。

しかし、社会の中では、企業実習生というと話題になるのは、悪い方のニュースばかりが多く、就業中の怪我や保証、失踪など様々な問題が報じられています。私たちの視点では、日本語教育が行き届かないことでそうした課題につながってことなかで、受け入れ企業さんのほうでは、単純作業だから、日本語教育の必要性をあまり感じていない現状も多々あります。私達としては、受け入れ企業様に労働力してだけではなく、彼らの生活を保障するというような意識改革のところにつなげてゆくことが苦労している部分です。

樋口葉子

司会 西坂さんお願いします。

西坂直樹さん

そうですね、この問いの回答になるかが少しわからないのですが、災害が起こった時に災害救助犬が活動していますというニュース映像を皆さん見たことがあると思います。泥だらけになって疲れ切った犬たちの映像が必ず出てきます。

そのとたんに、電話やメールなどインターネットを介した批判が急に来るんです。犬をいじめるなとか、動物虐待だろというようなですね。私が事務局をやっていたころに、本当は災害対応をしたいのだけど、そっちの対応をしなければいけなくなり、本意ではないのですが、時間をそこに割かれるというようなことがあり、1件、1件、丁寧に説明をして対応してきました。

そこで、実は、先ほどのSGD17番のパートナーシップなのですが、獣医師さんの団体と連携を組んでおりまして、災害救助犬の後ろには、必ず獣医師が待機しているのです。災害救助犬の活動は、最高40分を目安に活動し交代することになっています。戻ってきた救助犬の心のケア、身体のケアを獣医さんが行い8時間は休ませるというようなことを実施しているのですが、その部分は、まったく社会に情報が出ていない現状があります。

そうしたことも含めて、出来るだけ広報も出来るような体制を取ってゆきたいと考えています。先ほどのお話しの中にもありますが、正しいこと世の中の役に立つ活動をするものが、もっともっと発信する必要があるなと感じています。今の質問とは少し違うのですが、私達が取り組まねばならないこととして、こうしたことは大切だと思っています。

今回の座談会に参加するにあたり、調べたところ連携先の獣医師会さんの方でも、SDGs活動の情報発信ははじめておりますので、私達も獣医師さんとのパイプをつなげ、より多くの人に届くようにこのSDGsを利用させていただけるという兆しが見えたような気がします。

樋口葉子

司会 木村さんお願いします。

木村潤子さん

お二人のお話もありましたが、私達の活動に於いても現実を知らないが故の誤認がすごくあったように感じました。私たちの子ども食堂も誹謗・中小を受けて参りました。現在の社会では、昔と違って、道を歩ている子供におはよう!こんにちは、いってらっしゃい」と気軽に声をかけると変人扱いを受けたりするようなことだったり、あの人は危ないから近づいてはだめだとか、生きづらい社会となっているような気がします。SDGsの根幹にある誰ひとり取り残さない社会ってなんだろうと考えたときにこうした活動は、他の人が行わないからやっていることであって、特別なことではないと思っています。

こども食堂に対しての一般の方の概念として、貧しい家庭の人がいくんだろうとか、こまっているから行くんでしょう。運営者に対しては、偽善者であるとか、助成金が欲しくて行っているのでしょうとかの声がありました。その中でも参加者に対して、寄せられる「お前の家は貧しいのか」というような声があります。私たちの団体名「のんびりキッチン」と名乗っておりますが、「こども食堂」を入れるかどうか迷いに迷った部分でもありました。

今回お声がけをいただいて、活動とSDGsを絡めて考えてゆけることに気が付きました。SDGsという言葉は知らなくても皆さん知らずに行っている方はたくさんいるのかなと思うのですが、SDGsの浸透がまだまだ進んでないがゆえに、活動に必要な情報を得るための行政の担当課や地域の民生委員さん、学校との連携が非常に難しいということが課題となっています。また、現段階では、地域の企業さんや農家さんの理解が得られずに協力体制が作れていないという大きな課題があり、それをどうしたら解していけるのかが我々の取り組まねばならない問題です。

樋口葉子

司会 SDGs活動の中で、なにか工夫していることはありますか。佐藤からさんお願いします。

佐藤美華さん

私たちの活動を皆さんに理解してもらうという中で、大きなテーマで言うと外国人との共生という言葉になるのですが、そうしてしまうと、私達の身近に感じてもらえることが第1歩かと思っています。身の回りにいらっしゃれば、日本人のコミュニティに溶け込ませてあげるといった私達と円滑な関係を築く手助けを渡し地の中で工夫を更にしてゆきたいと考えています。

私達が、企業さんに日本語教育で入る際に、如何に彼らを可愛がってもらえるかというところは、後々の人間関係に大きく影響してきますので、ちょっとした日本語の使い方ひとつで人に対する印象が変わります。実習生の話す日本語で、受け入れ側の関係者の印象が変わりますし、同時に受け入れ企業の皆さんには、彼はこうなのですよと伝えてゆくことでうまくつないでいけると思っていますので私たちの役割であるし、工夫してゆかねばならないと認識しています。

西坂直樹さん

佐藤さんがおっしゃるように円滑な人間関係をつくることは大切だと感じます。私たちが災害現場で気を付けていることで、ベテランの温厚そうなタイプのメンバーを私たちのバックに待機してもらうんですね。

ここで捜索をしているということは、ここで埋まっておられる方の家族が周囲で待っている現実がありますので、現在、何をしているとか、きちんと丁寧に説明するというようなことでコミュニケーションを図ることで被災者の関係者の方々に安心感を与える、万が一のことも含め、説明を心がけています。

というのは、災害救助犬(犬)は、救助をしているという認識はなく、かくれんぼをして、人を見つけたらご褒美をもらうといったことの繰り返しなんですね。

だから、もし見つけたら犬は尻尾を振って喜ぶのです。僕たちは、見つけたら犬を良くやったねと褒めなければならない。それを現場でやらなければならないことを説明するとか、出来るだけ誤解を招かないように取り組んでいます。SDGsという活動とどう結びつくかわからないのですが、人間同士の理解しあうコミュニケーションを基本に考えてゆきたいと思っています。

樋口葉子

司会 木村さんお願いします。

木村潤子さん

工夫していることは2つありまして、参加者が私達のプログラムで社会貢献活動を行う際に、先方からお礼の動画をいただいたことで、それを見た子供たちが非常に喜び自分の役割や居場所といった感覚を高めることが出来るようになります。そのような環境づくりを大切にしています。

もう一つは、バザーですとか、参加者の直接的な経済状況の補助につながる場を作って、きっかけとなるようにしています。

樋口葉子

SDGsの17の目標達成には、多くの人たちの取り組みが必要かとおもいますが。これからSDGs活動を始めようと考えている人たちへ、何かアドバイスをお願いします。西坂さんからお願いします。

西坂直樹さん

もうすでに本日のお話の中で皆さんから出ていますが、ほとんどの方は、SDGsと意識せずに普段のくらしの中で実践していると思います。

それが、高い位置からですとSDGsという考えは、中々伝わりにくいのですが、私のレベルというかNPO活動のレベルで発信することがより身近になるのかなと思います。

例えば、自宅の前に公園があるのですが、登校前の子ども達に、顔を合わせたはじめの頃は、おはようと言っても返事は帰って来ないのですが、半年も経つと向こうから声を掛けてくる。こんなことなのではないかと思います。それで、SDGsのどこに当てはまるか、この先は、どう進めてゆくかなど話し合いができてゆくのではないでしょうか。

樋口葉子

司会 ありがとうございました。意識してゆくことが大切だということですね。

続きまして、木村さんいかがでしょうか。

木村潤子さん

はい、私も西坂さんがおしゃるように皆さんもうすでにやってらっしゃると思います。

最初に活動を始めたいなと2年ほど前からいろいろな方にどう取り組めば良いか聞いて回ったのですが、一歩も進めることが出来なかったんです。

そんな中、知り合いの方から、やればいいんだよと言われたのがきっかけでした。「やらない人はやらない理由を付けてやらないんだよ」と言われてショックを受けたことがありました。活動を始めたなら、間違っていても補正したりしながら、進めて行けば良いのだと思います。

佐藤美華さん

はい、そうですね、身近な取り組みから、先を見据えた目標がSDGsを知り見えることで、その後の取り組みが変わってくると思いますので、以下にその部分を活動する人たちが取り組むかは大切なのだと思います。

木村さんがお話しされた、生きづらい社会を変えてゆくには、SDG10番「人や国の不平等をなくそう」を知り、意識することで、普段の暮らしの中でのアプローチも変わってくると思います。更にSDGsについて考えることで、地域に住んでいる外国人の方々との共生のまちづくりの入り口に立てると思います。

視点を変えるという意味では、例えば、2階に住む外国人が急にどんちゃん騒ぎをしてうるさいというようなことも、実は、ただ騒いでいるのではなく、国の大切なお祭りであったりというようなこともあります。お互いに文化の違いなどを一歩踏み出すことで乗り越えてゆけることにつながるのではないかと思います。

樋口葉子

司会 ありがとうございました。郡山市市民活動サポートセンターでは、SDGsを勉強するため手掛かりとして、『未来を変える目標 SDGsアイディアブック』(編著:一般社団法人Think the Earth)を皆さんに推奨し、サポートセンターでは、貸出もしています。

SDGsの活動事例がたくさん掲載されていて、非常に参考になると思います。本日、出席された皆様も、機会がありましたら手に取って読んでいただきたいと思います。

樋口葉子

司会 新春座談会ですので、丑年の抱負などをお聞かせください。少しずつ広がりを見せているSDGsですが、どんな取り組みを計画していますか?

木村潤子さん

来年のテーマとして、「誰ひとり取り残さない」、お互いさまの精神で地域に共助の精神を浸透出来たらいいなと思います。

鏡石町は、外国人の方も結構いらっしゃる地域でもあるのですが、居場所づくりも兼ねて英会話教室を開いていただくことになっています。また、シングルマザーの皆さんによるフリーマーケットは、経済活動につながる部分ですので力を入れてゆきたいと思っています。

佐藤美華さん

今の木村さんのお話は、日本に来ている外国の方が活躍する場をつくるお話は感心しました。素晴らしいと思います♪

私の抱負は、初夢風とお題をいただいていたので、大喜利風にまとめてきましたのでよろしいでしょうか。

(一同:笑顔♪)

私どもの団体が、ふくしま多言語フォーラムで頭文字でf.m.f.ですので福島に住む外国人が住みやすいようにみんなで仲良く力を合わせ不平等を無くし、多文化共生社会の実現に向けて、これからも取り組んで行きます!以上です。

(一同:拍手)

西坂直樹さん

はい、法人自体は、立ち上がったばかりで、目標とかそうしたものは無いんですが、今まで活動を通して継続し意識してることは、人の命を救う、出来る限り救うということなので、そのためにスキルの向上など必要なことなどたくさんあります。

そのような観点でお話しすると、救助現場で消防・自衛隊・警察など一緒に仕事をすると、皆さん意外に思われるかもしれませんが、結構、仲が悪いんですね。どちらが先になるとかで揉めることなどがあるんですよ。

(一同:笑)

そこで民間組織の私たちが間に入って現場を仕切ってゆくことが大切であり、そうしたケースが多いことを感じています。

こないだ、長崎での災害が有ったときに全国から様々な救助関係の組織が行くのですが、それぞれの県で情報がばらばらだったりします。私たちは、全国から集めた情報を適切に現場の隊員に伝えているのですが、何故か全国の消防などから、私どもに情報の確認の電話がたくさんかかってきたりするんです。

そうした部分は、私達、民間の非営利組織としてNPOが担える部分なのではないかと思っていますし、その部分は今後も継続して行きたいと思います。民間の組織として、理念に基づき、自由に動くための立ち位置のようなものを意識しながら活動して行きたいと思います。

樋口葉子

司会 SDGsに関する話題は尽きませんね。SDGsの17のゴールは、人類共通の目標ですので、当然、市民みんなの共通の目標でもあります。

住みやすい街、持続可能な街づくりのために、SDGsの17の目標の達成に取り組むことが大事であることを教えていただきました。本日は、ありがとうございました。

広報誌「あしすとぱぁく」のページへ移動します

SDGsを活用するためのコンテンツ&相談会(毎月開催)

お問合せ

郡山市市民活動サポートセンター
(愛称:アシストパーク郡山)
所在地:〒963-8601
福島県郡山市朝日一丁目23番7号 郡山市役所 西庁舎3階
TEL/FAX:024-924-3352
Mail:ap#utsukushima-npo.jp ('#'を'@'に変更してご利用下さい)

開所時間:平日8:30~17:15
休館日:土、日、祝日、年末年始
_________________________________________________________________
運営受託:NPO法人うつくしまNPOネットワーク